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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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童謡の反動歌 

童謡の反動歌 
1.       童謡   胡懐琛
 「お月さん! お月さん!
 もう半分はどこへ行っちゃったの?」
「偸まれちゃったの」
「偸まれてどうなったの?」
「鏡になったのさ」
2.        童謡の反動歌  子供
 お空の半欠けお月さん
「割れた鏡が飛んで行った」っていうけど、
もとは偸まれて地上に降りて来たんだって。
わあ面白いな、面白いな。それで鏡になったの?
だけど丸いのや、四角、長四角、八角、六角の菱花や蓮花の鏡は
見たことあるけど、半月の鏡は見たことないよ。
つまんないね!
この子は新しい思潮の影響を受けて、どうも難癖をつけたがる嫌いがあるが、人心は古びず、おおいに気分が良い。一方原詩にも欠点が見られ、もし第2句を半欠けの片方はどこへ行ったの、とすれば完璧になる。胡さんは添削にたけておられるから、愚見を無視はされないだろう。
陰暦仲秋の5日前、某生記。十月九日
                  2010/10/09
訳者雑感:
原詩の作者と魯迅の関係を知らないと、理解しがたい。出版社注に依れば、作者の胡氏は1886-1938の国学家、鴛鴦蝴蝶派の作家で、「新文学の提唱者は、中国文学の改造を唱えているが、ここ数年なんの成果も挙げておらず、更には反動化している、云々」という文章への反撃である由。鴛鴦蝴蝶派というのは、鴛鴦に表現されるような内容の文芸を主体としたもの。胡氏が当時の新文芸提唱者の代表胡適の詩を勝手に改作したものを発表したことも皮肉っている。
 
話は劉暁波氏のノーベル平和賞に飛ぶが、彼が魯迅に学んだ点が2-3あると思うので、それを記す。
    大学の教師をしていながら、6.4運動の時に帰国して、学生の側に立って、
官憲に逮捕されて犬死するのは、一番無意味だとして、天安門からの避難を
勧めたこと。官憲並びに実権を持った政府が反政府行動者を虫けらのごとく
逮捕射殺するのは、1989年も、魯迅の生きた軍閥政府の1920年代となんら変わりはないことを、(文革を通しても)肌身に感じていた。
魯迅も教え子たちが、軍閥政府の銃弾で死んでゆくのを一番悲しみ、文章で抵抗するのが大切で、体で抵抗して命を落とすのを無益なことと訴えた。
「花なき薔薇」「忘却の為の記念」にそれを記す。
    アメリカやオーストラリアなどから国外に避難して、国外から反政府活動を
するように、との勧めを一切断って、やはり中国に戻って、中国で「民主」
を訴え続け、一党独裁政治を批判したこと。
魯迅も晩年、日本やソ連などから身の保全と療養も兼ねて、日本などに来て執筆を続けてはとの誘いを何度も受けたが、中国に身を置いていなければ、何も書けないとして申し出をすべて断り、死ぬまで離れなかった。
    今日魯迅が生きていたら、劉氏にどのようなメッセージを送ったであろうか。
大きなお墓に改葬されてしまって、藤椅子に腰かけさせられた大きな像は、
何も言えないだろうか。改葬される前の顔写真だけが嵌められた普通の墓石の下に眠っていた魯迅なら、すぐにでも「活無常」の口を借りて、反撃してくれるに違いない。
「劉氏にノーベル賞を授与するのは、ノーベル平和賞への冒涜だ」という
中国政府の発表に対して「それは、おかしい。中国政府は次のように言うべきだ」
「劉氏にノーベル賞を与えるのは、中国への冒涜だ!」と。
 

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