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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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65 暴君の臣民

 以前清朝の重大事案の記録を見ていて、「群臣百官」が罪は大変重いと上奏しているのに対し、「皇帝」は常に減軽しているので、多分これは仁に厚いという美名を残そうとして、こんな手口を使ったのではないかと感じたことだ。
 後になって考えてみるに、全く私の見当違いであったことが分かった。
 暴君治下の臣民は、大抵は暴君より甚だしいもので、暴君の暴政は、時として暴君治下の臣民の欲望を満たしきれないものだ。
 中国のことは持ち出すまでもない。外国の例でみても、小はGogolの劇「検察使」で、衆人はみなその上演を禁じたが、ロシア皇帝はそれを許した。大は、
イエスキリストで、執政官は釈放しようと思ったが、衆人は彼を十字架に釘付けするように要求した。
 暴君の臣民は、暴政が他人の頭に落ちるのを望み、それを見て喜び「残酷」
を娯楽とし、「他人の苦しみ」を賞翫し、慰安とする。
 自分の本領はそれから「うまいこと免れる」ことだが、「うまいこと逃れた」
ものの中から犠牲者を選び、暴君治下の血に飢えた臣の欲望を満たす。だが、誰もそれを知らない。殺されるものは「ああ!」と叫び、生き残った者は喜ぶ。
         2010/10/02
 
訳者雑感:北朝鮮が三代世襲を発表した。金氏が暴君か否かは歴史が決めるだろう。だが、過去60余年間彼の地で暮らしてきた民衆は、世界的な標準から見れば、かなり苦しい目に遇って来て、脱北という行動に出ざるを得ないほどなのだが。
しかし、三代の世襲という暴君の暴政を続けさせようとするのは、暴君の臣民に違いない。他人に苦しみを与えておいて、それを見て喜ぶようだ。
別の言いかたをすれば、もし世襲でなくて、別の人間に政権を譲ったとすると、その人間が金一族の悪をすべて暴露し、徹底的に覆すとなると、国家そのものが立ち行かなくなってしまうという危険性が大きいからだという。
暴君の臣民は、それを「うまいこと免れる」本領も持ち合わせていて、その本領を発揮したのが何を隠そう、今回の三代世襲というこの国の形だ。
韓国の例で、後任者が前任者の悪をあばき、当人を裁判にかけ、自殺に追い込むケースなどが何回も繰り返されてきたので、暴君の臣民はそれを一番恐れる。
暴政は他人の頭に落ちて呉れ。自分の頭上には落ちないでくれ!と言っているようだ。金氏の世襲を断ち切るものは、前回述べた「聖武」しかないか。
 

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