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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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両地書28

両地書28
 魯迅師:
 6月6日に一通出しましたが、届いたでしょうか。心配です。(出版社注には、
洪喬によって水中に棄てられたという故事を引用、赴任時に百通余の手紙を託され、郵便配達じゃないと、全てを水中に棄てたもの)
 学校の騒ぎは収まらず、上海の波もまた起こり、小鬼は、心は強いようだが力は弱く、何も対応できぬと痛感し、この頃会う人ごとに鬱憤をぶちまけ――酔狂じゃなく――こんな状態が長く続くと、発狂しそうです!幸い諧謔が好きなので、滑稽で苦悶を紛らしています。苦い茶に糖を入れて飲んでいますが本当は「苦みの量はもとのまま」でしょうね。
 今夕「微酔」(?)後、草々と筆をとり、短文を作り景の名で、題を「アル中」としました。久しく上海の騒ぎで「この調べを弾じなかった」ので中々はかどらず、「編集者」ならびに「先生」の尊位で、ばっさりと削除、添削を賜りたく。もしこれが「白光」から脱出でき、17番目に及第しましたら、第□号の「莾原」の赤い掲示板の末席に載せて頂けましたら「光栄至極」に存じます。  
 敬具。
   しっかり罵倒いただきますよう!!!!
      小鬼許広平      6月12夕

訳者雑感:許さんは学生ながら「ほろ酔い」し「アル中」という題で文章を書いたのか。自分の微力ではなにもできないと憤懣やるかたなく、諧謔と滑稽の中にそれを減じようとしている。
 文中の「白光」は魯迅の吶喊の中の小説で、16回も県の試験を受けたが及第できず、「秀才」になれなかった人物を指す。
それで17回目となるわけ。(出版社注)これと前半の「世説新語」の洪喬の故事を引用するなど、彼女の古典に対する造詣もかなりなものである。
  2016/09/20記

 

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