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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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両地書31

両地書31
 この世を如何に生きてゆくか。(魯迅の手紙第2信の内容を引用:割愛)

魯迅師:
 以前頂いた手紙に上記のような文章がありました。私は「一人で食べると太りにくい、友達と分け合って食べたい」(最後の句は広東の諺)と思い、同好の人たちと公にしたいと思います。今上海事件が起き、百折不撓の精神をもつべく、故に、私はこの文章を公開する必要があると考え、写しを奉呈し「莾原」を飾りたいと思います。題は吾師の原文を書きましたが、署名は言うまでも無く、宗主権者に有ります。そして発表するか否かを決めるのは作者です。小鬼は僭越なことは致しかねますので、斟酌願います。(私の愚見を批准くだされば幸いです!)
 楊ばあさんは新平魯11号に大きな事務所を借り、積極的に学生を募集しています。結果、北京在の4人の主任が自ら教育部に行き、一日も早く学校の問題の処理を進めるよう催促し、一方では文書を執政府に提出し、速やかに人選をするように、そして教育部が責任を持って今後の校務を解決するよう要請しています。在京の4人は何とかこうした点をこなせるかどうか不明です。学校維持もばあさんの手紙で妨害され、できるかどうでしょうか。凡そ表に出てきて話をつけようとする人たちは往々、いろいろ苦労しても成果があげられず、頭から泥をかけられてしまうし、宣言した7人の先生の事は、前者の轍で、今後はどうしても誰も敢えて行動を起こさないでしょう。その結果、だれも女師大のことを取りあわなくなってしまったのです。
 しかし主任の先生が言うには、取り合わないのでなく、そうしたくてもできなくなってしまったということです。他の人たちは何とも致し方ない、と。これも取り合えない理由の一つです。それでも取り合おうとする人は、日ごろ意気揚々と盛んな人たちだが、この狼狽状態を利用して、上司にへつらってうまい汁を吸おうとしているのです。聞くところでは、有る人は私がやれば、学校にはすぐ戻れるよと言い、私ができるのは、天津の後ろ盾があるからだ、と。十万の軍隊がおり、ひ弱な書生など恐れるに足りぬ、と。況や更に袁世凱がたたっているのです。これが実現されると、我々学生は死ぬしかないでしょう。この世から「真理」という活字を消すべきでしょう。子供が騙されぬように。今武装した連中が校内にあふれ、文理2予科を解散し、学生18名(或いは12名とも)除籍したとの情報あり。又某氏が端午の節句前日に、教育部長に就任し、これに反対する者は孔方兄(四角い穴の銭の意)を使って拒否するからと、全くお話になりません。彼らの学校に対する最低条件は、少なくとも学生6名と婆さん一人を一緒に犠牲にし、彼我の是非は問わぬ、と。これまた教育破壊の強固さを示しています。もしそれが学校に有益なら、死んでも悔やみませんが、6人も恨まないでしょう。只6人が出て行ったとしても学校に有益だとは限りません。
   小鬼 許広平 6月19晩
 (この後、2-3通欠落あり)
訳者雑感:冒頭部分の広東の諺は面白い。魯迅の文章を引用した後で、
「一人で食べると太りにくい、友達と分け合って食べたい」おいしいものは、一人じゃなく皆で一緒に食べるとより身に着く。栄養になり体に良いということだろう。文章も感銘を受けたものは一人だけで味あうのは身につきにくい。同好の士と一緒に味あうのが一番良い、ということだろう。
 2016/10/11記

 

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