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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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知識過剰

知識過剰    虞 明
 世界は生産過剰で経済恐慌にあえいでいる。
同時に3千万以上の労働者が飢餓に飢えているが、
食糧過剰も相変わらぬ「客観事実」である。
さもなくば、米国は決して我々に小麦粉を掛け売りしないだろうし、
我々も「豊作災害」になどならないだろう。
 然るに知識も過剰で、知識過剰により恐慌も拡大した。
一説には、中国の現在の教育を農村で提唱すればするほど、
農村の破産は速くなるという。
これは知識の豊作が禍をなすということ。
米国は綿花が安価なため、綿花畑をつぶした。
中国は知識をつぶすべし。これは西洋伝来の妙法だ。
 西洋人は能力があり、5-6年前、ドイツは大学生が多すぎるとして、
政治家と教育家は声を大にして、青年に大学には行くなと呼びかけた。
今、ドイツは勧告だけでなく、知識をつぶしに入っている。
例えば、一切の書籍を焼却し、作家に自分の原稿を腹に飲み込ませ、
更にはおおぜいの学生を兵舎で労働させて、「失業問題解決」としている。
 中国も法文系学生が過剰だと叫んでいるではないか!
実は法文系のみに止まらない。高校生も多すぎる。
「厳格」に入試を実施すれば、鉄の箒で一掃すれば、
大多数の知識青年を「民間」に掃き出すことができる。
 知識過剰がなぜ恐慌をもたらすのか?
中国は80-90%文盲ではないのか?
然るに、知識過剰は終始「客観事実」で、その為の恐慌も「客観事実」だ。
 知識が多すぎると、気持ちが活発にならなければ、すぐ落ち込む。
活発だと色々考え、落ち込むとしんどいことはしたくなくなる。
その結果、自分を沈静できぬと、他人の沈静を妨害するようになる。
 それで禍が起こる。それゆえ知識も一掃せねばならぬ。
しかし一掃するだけでは足りない。予め実用に適した教育を施さねばならぬ。
第一は、命理学で――楽天知命、運命は辛くとも、楽しむべし。
第二は、識相学で――「相を認識」すべしで、近代武器のすごさを知るべし。
少なくともこの2種の実用的な学問を早く提唱すべし。
その方法はとても簡単――古代哲学者が唯心論に反駁して言った。
この碗の麦飯の物質的存在を疑うなら、一番良いのは食べて満腹するか否か、
をみさせることだ。
今例えば電気学を学ばせるには、電気に触れさせて、痛いかどうかを見:
飛行機などの効用を分からせるためには、頭上を飛ばせて爆弾を落とし、
死ぬかどうかを見させることだ。…
 このような実用的教育をすれば、知識はもう過剰ではなくなる。アーメン!
       7月12日
 
訳者雑感:
 世界大恐慌はどうして起こったのか?
生産過剰で、豊作貧乏、その一方で3千万の労働者が飢餓にあえぐ。
その大本は知識過剰というのが本文の趣旨。
文盲が80-90%という農村に現行教育を施すと、農村は破産するという。
農民が農地を耕さなくなり、都会に出稼ぎに出、農村は消失してきた。
過去2千年の過程は、戦乱で押しだされた人々がどんどん国の周辺に移住し、
そこで生きてゆくために米や麦を植えて命を保持してきた。
 それが20世紀に入って、教育が普及し、知識過剰となって、
気分が活発な時は色々なことを考えるが、落ち込んだ時はしんどいことはしなくなる。
しんどい事というのは農作業であり、肉体労働だろう。
 魯迅が掲げた2つの実用に適した学問は、頭でっかちで、実際に適さぬことを記憶するだけの伝統的な中国独特の学問を一掃せよ、と訴えているものだろう。
    2012/06/05訳

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