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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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中国的奇想天外 

中国的奇想天外  游 光
 外国人は中国のことを余り知らないで、中国人は実際的な物を重視するという。
実はそうでもない。中国人は世界でも最も奇想天外な人間である。
 古今を問わず、誰もが知っていることだが、一人の男が何人もの妾を蓄え、
どこまでも肉欲の赴くままにしたい放題で、最後には、
毎日三鞭酒を飲んでも効かなくなってしまうまでのみならず、
まったく「寿命が尽き果ててしまう」までやらないと気が済まぬようだ。
我々の古人は一大奇想を有していた。
「御女」(女を御す)によって、仙人になれるというのだ。
例として、彭祖がたくさんの女人を有して、数百才まで生きたという話しだ。
この方法と錬金術は同じように流行した。
古代の書籍目録に各種の書名がある。
だが実際は、どうもうまくゆかなかったようだ。
今ではもう誰も信じないが、これは漁色好きの英雄には誠に不幸なことだ。
 しかしまだ小さい奇想はあり、フンと一声鼻から白光を放ち、
それで以てどんな遠くにいる敵でも仇でも殺すことができる、というもの。
白光は必ず戻ってくるので、証拠が無く、誰が殺したかは分からない。
敵を殺しても、厄介なことにならず、なんともいい気分だ。
この技両は一昨年、ある男が武当山に登って、求めようとしたが果たせず、
去年になって、大刀隊を使うというのが、この奇想に肩代わりされてしまった。
現在ではこの大刀隊の名声すら寂莫となってしまった。
愛国的英雄にとっては大変不幸なことである。
 我々は最近また一大奇想を有した。
それは一方で救国しながら、もう一方でお金が儲かるという救国籤だ。
宝くじは賭博に似ているが、お金が儲かるというのもその「望」に過ぎない。
だが、この二つがすでに連関し始めたというのは本当だ。
世界には賭博で客を集め、国を維持しているモナコという国がある。
しかし常理から言えば、賭博は、たいてい小は家を破り、大は国を滅ぼすもの:
救国というと、どうしても犠牲は避けられない。
少なくとも金もうけからは大きくかけ離れている。
然るに、そこに一致点を発見したのが我々中国で、目下試験中である。
 更にまたもう一つの小奇想あり。
今回、白光は使わず、広告を数回出し、匿名の手紙か仮名の文章を仇の頭上に落とす。
多少の血が流れるが、自分の洋館や洋服は決して汚れない。
相互にやりあう内に、自分は名を成し、利を得る。
これも目下試験中で、結果はわからない。
既存の文芸史をめくってみても、それをうまく果たせた者は一人もいない。
多分それは折角の企みも、妄りに用いたからだろう。
 賭博で救国とか、肉欲を尽くして仙人になるとか、懐手して敵を殺すとか、
デマを飛ばして田を買うなど、誰か「龍文鞭影」(故事成句)の続編を出すなら、
この四句を添えても構わない。(狂賭救国、縦欲成仙、袖手殺敵、造謡買田)
      8月4日
訳者雑感:
 日本に来た中国人がトイレの清潔なことに驚嘆して、
「日本のトイレは素晴らしいね」との感想。
それで気分を良くした日本人は、お国よりずっと清潔でしょう、と答えたら、
「日本のトイレには御婦人用と書いてあるが、これは婦人を御すために用いるのか?」
と反問。これには参った。確かに以前は紳士用と対でそう書いてあった。
近頃はこの影響か、御婦人用の標識は女性の姿に変じた。
中国の各地をバスで巡ると、2時間おきにトイレ休憩があり、いずこも旧式のもので、
標識はただ「男」「女」と大きな漢字一字が多い。たまに後に厠と付くのもあるが。
         2012/06/08訳
 
 
 

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