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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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再び保留について

再び保留について

 劉庚生の罪名に触れたので、もう少し書きたいと思う。

だが、今の中国ではそれは大変困難で、安全の為、ただ黙すしか無い。
書くとなると、自分の身に災難がふりかかってくる。

 これまでの例では――

 12年前、魯迅の「阿Q正伝」は国民の弱点を浮き彫りにしたのだが、自分がそこに入っているかどうか、説明していなかった。

しかし、今年、数名の人が「阿Q」は彼自身を指している、と言い出した。これは現世の悪い報いだ。

 89年前、正人君子(胡適、陳西瀅)らが、週刊紙を発行し、彼らに反対する者は、ルーブルを貰って学界を混乱に陥れたと言った。

しかしその45年後、正人は教授になり、君子は主任となって、ソ連からの賠償金返還の福を享受した。そしてそれが(他に転用され)停止されると聞くと、その争奪戦まで展開した。これは現世の善い報いだ。

だがやはり自分の身にふりかかってくる。

 物書きはどんなに注意しても、どうしても周到さに欠ける。

最近の例では、各紙は「敵」「逆」「偽」「傀儡」などの字句があふれている。

そうしないと、愛国を示せぬようで、読者も不満に感じる。

ところが、「某機関からの通知:侵略への防御は国民が一心となり、実情を重んじ、敵に逆らうなど過度で刺激的な字句は実際は無益で、今後は使用せぬように」という。

更に黄委員長が北平に着き、政見を発表して曰く:

「中国が和すか戦うかは皆、受動的で、その方法も難しいし、国難は多岐であるから、速やかに最後の挽回策を講じよ」(18日「大晩報」北平電)とすら言っているではないか。

 幸いまだ救われるのは、紙上には只「日本の飛行機が北平を威嚇」などの見出しだけで、「過度に刺激するような字句」は無い。ただ「漢奸」という字はまだある。

日本はすでに敵ではなくなったのであれば、漢は何を以て奸というのか。
これは大きな手落ちと言わざるを得ない。

幸い漢人は「過度の刺激的文字」を怖れず、たとえ首を斬られて街に吊るされ、内外の士女の欣賞に供せられても、これまで誰も一言も文句を言わなかった。

 こうした場所では、我々は話しをするのが難しいことを承知していた。

 清朝の文字の獄以後、文人は野史を作ろうとしなかった。

もし誰かが3百年前の恐怖を忘れることができて、報道された記事の中から、そのエッセンスを取りまとめたら、不朽の大作となるだろう。
但、勿論神経過敏になる必要は無く、予め「上国」とか「天啓」とかに改称しておくが良い。 5月17日

 

訳者雑感:

 1933年頃の「日本の飛行機が北京を威嚇」という見出しを見ると、2013年の今日、
尖閣を巡って日中両国の飛行機が今にも空中戦を始めそうな活字がメディアにあふれているのがとても心配になる。

 威嚇するとか警戒信号弾を発射するとか 物騒な動きはどのようにしたら止められるだろう。

 公明党の山口代表と習氏の間で、多少そういう危険な行動は止めようとの動きが出て来つつあるのが救いだ。

   2013/01/27

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