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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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王化

王化
 中国の王化は今まことに「光は四方上下にいたる」(尚書)ものである。
 溥儀の弟嫁が料理長と3万余元を持って逐電した。
そこで中国の法廷は彼女を捕え「夫の家に戻して監督させる」判定を下した。
満州国は「偽」だが、夫権は「偽」ではない。
 新疆の回族が騒いだので、宣撫使を派遣した。
 蒙古の王公が流浪の果て、行き先が無くなったので「蒙古王公救済委員会」 を特別に作った。
 西蔵の懐柔に、パンチェンラマに御経を念じて呪文を唱えてもらった。
そして、最も寛仁な王化政策は広西の瑤民への対応策と言える。
「大晩報」に、この「寛仁政策」は、3万瑤民のうち、3千人を殺したという。
三台の飛行機が瑤族の洞(家)に「卵を落とし」彼らに「天神天将が来た、 と驚きいぶからせ、戦わずして投降」せしめた由。

その後、瑤民の代表を選び、外埠を観光させ、彼らに「上国」の文化として、 街路に金ぴか制服のインド人巡査のいかめしい姿などを見物させた。
インド人巡査は「ガタガタ騒ぐな!」と怒鳴った。
 これらもうすでに久しく前に帰化した「夷犾」は近頃「ガタガタ騒ぐ」のは、 どうやら恨みがあるからだ。
王化が盛んな頃は、「東面すると西夷が恨み、南面すると北犾が恨む」のも、 当然の道理である。(尚書:早く自分の所も王化して欲しいとの意)  だが東奔西走し、南征北伐するに決して怠けているのではない。
苦しいけれど「精神的勝利」は我らにあるのだ。
 「偽」満州の夫権保障の後、蒙古王公を救済し、ラマの経と呪を念じ終え、 回族は本当に安心でき、瑤民は「戦わずして投降」したら、次は何ができるか?
もちろん、ただ、文徳を修め、以て「遠く離れた所にいる異族」日本を服すのみ。
この時、我らのインド人巡査式の責任は果たし尽くせたと考えられる。
 嗚呼、草の民は盛世に生まれ、遠くに歓呼の声を聞いて、鼓舞するのみ!
(孫文が1894年、李鴻章への上書の句)  5月7日
 
 本篇は新聞検閲により、没となった。幸い瑤民でもなく、租界に居たので、 国産飛行機の「卵の落下」も免れたが、「ガタガタ騒ぐな」は一律に受けた。
従って「歓呼」も許されず――されば、一声も発すことあたわず、 死んだふりの救国あるのみ。  十五夜記
 
訳者雑感:
 日本に触れた段の原文は「自然只有修文徳以服“遠人”的日本了」とある。
出版社注に、“遠人”は異族或いは外国人を指し、「論語・季氏」に:
“故に遠人が服さぬなら、則、文徳を修め以て之を来させしむ”とある。
武力で服さぬなら、文徳を修めさせて云々と読める。
文脈からすると、この当時の対日政策は、日本に服従させられるのではなく、 日本を(他の周辺民族のように)文徳で中国に服させる、ことにあったようだ。
武力で滅茶苦茶にされているが「精神的勝利は我らにある」、と。
    2013/01/12記
 

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