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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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家庭は中国の基本

家庭は中国の基本
 中国は自から酒の醸造したのは、アヘンを植えたのより早いが、
今や横になってアヘンを吸う人間の方が多いと言われる。
だが外国の水兵の様に街中にくり出す酔っぱらいは少ない。
唐宋の玉蹴りも絶えて久しく、一般的な娯楽といえば、家でやる徹夜マージャンだ。
この2点から我々は戸外から徐々に家の中にこもる様になったのは疑いない。
昔の上海の文人も慨嘆して、一聯をつくり、
その聯に対する対をつくって欲しいと人に求めて曰く:
「三鳥人を害す。鴉(片)・(麻)雀・鳩」、鳩は宝くじ、雅号は奨券。
当時「白鳩票」と称した。その後誰かが対句をつくったか知らぬ。
 しかし我々は現状に満足はせず、小さな家にしても、気持ちは宇宙の外に馳せ、
アヘンを吸う者も、幻想を享受し、麻雀を打つ者も、いい牌を敬慕する。
軒下で爆竹を鳴らす者も、月を天狗の嘴から救い出すためで:
剣の仙人は書斎にいながら、フンの一声で白光が光り、千万里外の敵を殺し、
飛剣は家に戻り、もとの鼻孔に収まる。次回再び使うためである。
これを千変万化と言い、まさしく祖伝のままである。
だから、学校は家庭から子弟を預かり、社会の人材を養成する場所だというが、
どうにも手のつけられないほどになってくると、
やはり「家長に厳重にしつけてもらう」次第となる。
「骨肉は土に帰るが命なり:それ魂あらば、行かざる所なし、行かざる所なし」
人間は(死んで)幽鬼となったら、本来どうしようと自在なのだが、
残った人は、やはり紙の家を焼いて、そこに住んでもらおうとし、
金持ちなどはジャン卓、アヘン盆も要る。
仙人になるとこの変化はとても大きいが、劉夫人はどうしても住んでいた家を離れられず、「家ごと昇天」できるように働きかけ、鶏犬も共に昇天させてしまい、
依然として家事を司り、犬を飼い、鶏に餌をやる。
 我々古今の人々は現状に対して実際に変化を望み、変化を認める。
幽鬼に変じてしまうのは仕方の無いことだが、仙人になれればもっと良いが、
昔から住んできた家については、死んでも手放さない。
火薬で爆竹しか造らず、羅針盤も墓の風水しか見ないという原因もこの辺にあると思う。
 今火薬は爆弾となり、焼夷弾として飛行機に積みこまれたが、
我々は家の中でそれが落ちて来るのを待っているだけだ。
飛行機に乗る人は多くなったが、遠くまで出かけようとするよりは、
早く家に帰りたい為の方が多いようだ。
 家は我々が生まれた所だが、死ぬ所でもある。
    12月16日

訳者雑感:
魯迅の指摘するように、中国人は戸外より家の中を好むようだ。
スポーツもテニスより卓球、テニスも室内を好む。
バレーやバスケットの方が、野球やサッカーする選手より世界的に優れており、
オリンピックでも活躍している。
酒の飲み方も、水兵ほどではないとしても、日本人が新宿の街を酔っぱらってハシゴ酒をしているのを見ると不思議がる中国人は多い。
人前で酔い潰れるのを一番見下すという。だから自分が見下されぬように注意する。
 中国が世界に誇る火薬と羅針盤の発明も、
爆竹と墓の方角を決める風水にしか使わず、
爆弾を落とされる被害者と成り下がってしまった、と嘆いている。
 題名の「家庭は中国の基本」というのは、中国人を縛り付けている源という風刺か。
      2012/04/25訳

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