魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など
内山書店と「左聯」
「文芸座談」第1号に、日本浪人内山完造は上海で書店を開いているが、探偵だと言うのは確かで、更に「左聯」と関係がある、との記述がある。郭沫若が武漢から上海に逃げて来た時、内山書店の2階にかくまって、後に日本行きの乗船券を買ってもらった。茅盾は身に危険が迫った時、内山書店を唯一の避難所と考えた。そうであれば、同書店の役割はどこにあるのだろうか?
蓋し、中国に共産党の匪賊がいるのは、日本の利なので、日本の雑誌に中国の共匪の情報を載せた記事は、中国自身が知っているよりも多い。この種のネタ取得も半ば命を救ってもらった恩のある共産党文芸分子の提供したものと:後の半分は、共産党自らが送って、その勢力伸長の為であり、ろくでもない文人が買収されて、その手先に甘んじて、情報を探る者がとても多い。
この種探偵機関というと、内山以外に、日日新聞社、満鉄調査部などがあり、有名なスパイは、
内山完造の他に、田中・小島・中村などがいる。 {新皖}
以上の2篇には2つの新趣向がある:
1.以前の誹謗者は、左翼作家はすべてソ連からルーブルを貰っていると書いたが、今は日本の間接スパイと書かれた。
2.以前、他人を剽窃者と言う時は、必ず書いたものを証拠としていたが、今はもっぱら人の口からでたものを、書くようになった。
私は内山書店にはこの3年来、確かによく行き、坐り込んで本を見、いろいろしゃべったりした。
だが、上海の所謂文人たちより、余ほど安心できる。彼は金を稼ぐために商売をしており、スパイのためではない:彼が本を売るのは金もうけのためで、人の血を売るようなことはしない:
この点については、凡そ自分では人間だと思っているが、実際はイヌにも及ばぬ文人たちは、しっかり学んでもらいたい点だ!
しかし、まだ不満を抱く人がいて、7月5日の「自由談」にはついに下記の文章が掲載された。
訳者雑感:
この後記には、本文で魯迅が書いたものに対する批判非難を再掲していて、訳すのに疲れるが、これを訳さないと、話しの展開につながらないから、訳している。
2月20日のサンケイのコラム(春秋)に、最近政治協商会議の委員になった人の話しとして:
「以前はものをいう自由が無かったが、今はものを言わない自由もなくなった」という趣旨の話しが出ていた。
この「自由」を「権利」に換えても意味は通じる。委員になると共産党政府の行為に対して、
ものを言わないという自由が無くなり、「支持・賛同」の言葉を言わなければならなくなる。
1930年代の上海で、新聞社のコラム「自由談」に毎月何件か寄稿していたものを、
一冊の本にする時、「偽自由書」と題したのは、自由の無い状況下で書いた多くの文章が、
没にされ、残ったのがこの「偽」のついた自由書になったのだ。
2013年2月21日訳
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