魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など
烽火の話五則(奉直戦争の烽火)
親子がケンカしている。が、神通力で彼等の年齢を略同じにしたら、すぐ一対の同じ志、道を同じくする友だちのようになれるだろう。
賢人が「人心古びず」と嘆いた時、大抵は彼等の巧みな計が失敗したのだが:古老が「人心古びず」と嘆いた時は、則、息子や妾に怒られたせいに違いない。
電報曰く:「天が中国を禍(わざわい)した。天曰く:全くのいいがかりだ!」
精神的な文明人が飛行機を作ったのを論じて:これと霊魂の自在に遊行するのを比べるのは、一銭の値打ちも無い。書き終えて、遂に一族郎党引き連れて、東交民巷の外国公館街に移る。(官僚政治家の避難場所)
詩人が烽火の近くで眠っていて、音が聞こえたら、烽火は聴覚で聞いたのだ。但し、それは味覚に近い。というのは、無味だから。しかし、無為をなさざる無しとすれば(老子の言)無味は当然、味の極みだ。そうでしょ?
(1924年11月24日に「語絲」に掲載)
訳者雑感:
出版社注に、これは第2次奉直戦争の時、書かれたものの由。
段棋瑞・馮国璋などの北洋軍閥が北京で戦争を始めたとき、「天が中国を禍(わざわい)した。天曰く:全くのいいがかりだ!」という文章がよく出たという。
飛行機からの爆弾投下。それを避けるには外国公館街に逃げ込むしかない。それができるのは官僚か政治家だけで、庶民は空襲で焼け出される。死亡する。
東京大空襲記念日に。また「マッさん」の余市にまで米軍が来たというテレビを見た日に記す。
それにしても最近の川柳に「どうしても派兵したがる首相持ち」というのがあったが、派兵を恒久法にしたいと言い出した。
2015/03/10記
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