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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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記録として残す7

記録として残す7
 最近の朝刊は「特集」が付き、医薬、文芸、舞踊をなどを講じ:また「大学生特集」「高校生特集」もあり、勿論「小学生」「児童」のもあり:「幼稚園生」や「嬰児」のものは見たことが無い。
 9月27日、偶然「申報」で「児童特集」を見、中に「子供を救え!」と言う記事があり、「児童作品」というのもあtり、子供たちに無用な本を読まず、時間があったら「役に立つ児童雑誌」か日曜の「申報」が出す「児童特集」を見れば、児童の知識を増やす事が出来る、とあった。
 手元にこの「児童特集」があり、第一篇を見た。果たして、捨て去るに忍びない時事に応じた名文を発見した:

 小学生が持つべき認識     夢蘇
 この一カ月で、四川の成都、広東の北海、湖北の漢口および上海の共同租界で、不幸な事件が続いた。日本の僑民が殺され、両国関係に非常に深刻な不安をもたらした。
 君たちはこの不幸な事件にどんな感想を持ちましたか?
 これが我が民族に対する影響はたいへん大きいです。
国際交渉は非常時に、国民として敵に抗して、侮りを御すという精神を持たなければなりません:だが、国交が今なお常態にある時に、外僑(外国人)を殺傷するような軌をはずす行為は絶対してはいけません。個人の私怨で外僑を殺すのは、自国民を殺すより罪が重いのです。殺されたのは絶対数は少ないが、他国の誤解を引き起こし、自国の外交上の困難を増加させるからです:思ってもいなかった紛糾を起こすようになっては、全民族の復興運動の歩みを乱します。この種、少数の人の無意識のうちに軌をはずした行為は、実に国法の罪人で、民族の敗者です。我々はこれを大きな戒めとしなければなりません。このような行為は戦士が戦時に敵を殺し、成果を挙げるのと功罪は全く相反しています。
 小学生の皆さん! 考えてください、我々が外国に住んでいる僑民で他国の人に無法に殺されたら、我々には兵隊や軍艦が無いので、そこに上陸して保護することはできませんし、小さなことで大騒ぎはできません:我々の政府は厳しい要求も出せず、公平で道理にかなった保障も何も得られません:しかし我々の同情と憤慨を禁じることはできません。
 我々は他国の人が我々の華僑を敬視するのを望み、我々も当然、如何なる外国の僑民も敬視すべきです:外僑を殺傷する非法行為は二度と起こさぬようにしなければいけません。これが大国民の風度です。
 
この「大国民の風度」は非常にすばらしい。そして禁じえない「同情と憤慨」はやや過激の嫌いはあるが、全体としては、外交面での敦睦に対して有益だ。しかし、我々は中国人の立場から、やはり我々は自分に対し、この「大国民の風度」を持つことを望み、自国の民の生命の価値を外僑の半分しか認めず、「罪一等を加える」ようなことをせずにしてもらいたい。
 主人が奴隷を殺しても無罪で、奴隷が主人を殺すと厳しく罰するという刑法は、民国以来(嗚呼、25年経ったが!)とうに廃止されたのではないのか?
 まことに「子供を救う」べしだ。これは我が民族の前途に極めて大きな関係がある!
 そしてこれは我々の子孫に関しても同じだ。大人たちよ!我々は人間として生まれてきたからには、人間の言葉を話すように努力しようじゃないか。
              9月27日

訳者雑感:
イスラム国を称する集団が日本人2人を残酷な方法で殺してそれを映像で世界中に流した。
 今のあの地域の状態は、義和団の事件の頃から魯迅のこの時代まで続いてきた中国の各地で起こった外国人の暗殺、特に外国人のそれへの報復として戦争(事変・虐殺)とそれへの対抗として「暗殺」が続いた時代を彷彿とさせる。
 アヘン戦争から太平天国第2次アヘン戦争など、外国人を襲撃して、それが戦争への引き金となったのは枚挙に暇がない。
 日本の幕末も、生麦事件で英国人を殺して、英国軍艦が薩摩を砲撃して、賠償金を要求したり、池田屋事件など藩内党争での暗殺・殺戮、4か国の下関砲撃とか、政治の混乱時にはこうした「暗殺」「虐殺」が避けて通れないものか。
 今のイラク・シリア両国に根拠地を持つイスラム国は、1930年代の中国各地に根拠地を持つ「反政府的な軍閥」及び「馬賊的な集団」「青幇」などの流れ者或いはヤクザ的集団が、それぞれに跋扈していて、それぞれが勢力拡大の為に外国人の殺害や財産を盗んだりした。身代金稼ぎのための誘拐事件は多発した。
 中国はそうした混乱の百年を経て、共産党という「解放軍」を党の軍とする強力な一党独裁政府として、途中文化大革命という大変な災難にも遭いながら、
それを乗り越えて、今日世界第2の国になったと誇っている。
 しかし、それも一枚岩ではなく、薄熙来裁判で明らかになったように、そしてそれ以後周永康失脚など「腐敗退治」という「スローガン」を掲げて、権力の基盤固めに大わらわである。これがいいかどうかは、数十年後の歴史家が判断するだろうが、すくなくとも、フセイン独裁体制を倒した結果の今の中東情勢の悲惨さを見ると、独裁体制(中国では専制というが)を断乎として続けるという共産党政権の方が、彼の国には当分ふさわしいのかもしれない。
もし、民主と自由を我にと言って独裁体制を壊すと、中東の二の舞になる怖れはある。香港のあの坐り込みが、中国各地で呼応したら、手がつけられなくなったであろう。
      2015/02/05記

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