忍者ブログ

日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

文章とテーマ

文章とテーマ
 あるテーマについて文を書いてゆくと、書く事が無くなってくる。
新しい機軸を出すと、もはや訳が判らなくなってしまうが、一歩ずつやってゆくと、
また書けるようになる。それを太鼓持ちがはやし、人の耳になじんでくると、
次つぎに出て来るだけでなく、それが通用するようになる。
 その例が、近来の最重要テーマの「安内攘外」(内を安定させ、外は攘夷)で、
これについて沢山書かれている。ある者は安内のためには、先ず攘夷せねばならぬ、
又ある者は安内と同時に攘夷すべし、ある者は攘夷なくして安内はあり得ないとし、
攘夷即ち安内だと言う者や、安内即攘夷として、安内は攘夷より急務だという者もいる。
 ここまで書いてくると、文章はもうこれ以上展開できないようで、
見たところ多分ピークに達したと言えよう。
 従って、新しい機軸を出すと、もう訳が判らなくなってしまう。
今流行の名づけ方だと、「漢奸」の嫌疑が出て来る。どうしてか?
新機軸の文は「安内の為には、必ずしも攘夷は不要」「外を迎え、以て内を安んず」
「外はすなわち内で、もとより攘(じょう)すべきではない」の3つしか残らない。
 この3つの意味を書きだすと、実に珍奇だが、事実として存在している。
それも遥か昔の晋・宋の時代に求める要も無く、明朝時代をみれば十分だ。
満州人は早くから機を窺っていたが、内は民草の命を軽んじ、
気骨ある官僚を殺してしまっていた。これが一番目。
李自成が北京に入城し、権門連中は奴(やつ)が皇帝になるのは我慢ならず、
「大清の兵」に彼を殺すよう要請した。これが2番目。第3に至っては、
まだ「清史」を見ていないので分からぬが、旧例によれば、愛新覚羅氏の先祖は、
もともと軒轅(けんえん)黄帝の第何番目かの子の苗裔で、朔方に逃れていたが、
仁に厚く、ついに天下をとったというべきで、要するに、我々はもとから同じ一族だ、
ということだ。
 後の史論家は、もちろんその非を強く排斥したし、今の名人も(その当時の)
流寇(全土を荒らした匪賊:当時のも揶揄している)を痛切に非難している。
ただし、これはその後と今日の話しで、当時はまったくそうでは無かった。
(狩猟用の)鷹と狗が道を塞ぎ、不義の者が権力を握り、魏忠賢などは生存中に、
孔子廟に祀られたではないか?彼らのこうした手法を、当時の人たちは皆肯定した。
 前清末、満州人は革命鎮圧に必死になり、「友邦に贈る方が、家人にとられるよりまし」
ということを言いだし、漢人はそれを知って切歯扼腕した。
実を言えば、漢人もこれと同じでは無かったか?
呉三桂が清兵の入関を請うたのは、自身の利害を考えてだが「この点では人は同じ」
という実例だ。……
        4月29日
付記:原題は「安内と攘夷」だった。5月5日。
 
訳者雑感:
 付記の意味は、出版社によって勝手に変えられてしまったということを示す。
今広州の「南方週末」の4-50人に記者が、抗議のためにデモを始めたという。
「民主」とか「自由」を求めて発行した雑誌が、出版社の勝手な方針(上からの圧力)
で、まったく別物にすり替えられてしまったことへの抗議だという。
 「国をよくしたい」と願う記者たちの動きは、「党に対して不適切」で「反党行為」と
判定されている。この国は国民の為のものか、党の為のものか?
湖南省の長沙の三一集団会社の梁会長は、「ライバル会社が公権力を使って我々に
かける圧力を避けるため」北京に本社を移した。
彼のコメントは「党が求めるならば三一のすべてをささげても構わない」というが、
何か違和感を覚えた。民営企業すらも「党のためでなければ」存続して行けぬようだ。
   2013/01/07記
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

拍手[1回]

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

06 2024/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

フリーエリア

最新CM

[09/21 佐々木淳]
[09/21 サンディ]
[09/20 佐々木淳]
[08/05 サンディ]
[07/21 岩田 茂雄]

最新TB

プロフィール

HN:
山善
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R