忍者ブログ

日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

両地書26

両地書26
 広平兄:
 開封の件は、連中は冤罪かもしれません。実は31日分は私が開封したかもしれません。あの時すでに夜遅く、手紙を沢山書いたので、記憶が不確かですが、一つは(下の方を)開いて、1枚目に細かい注を入れたのです。君の受け取った1枚目に注があれば、私が開いたものです。
 他の手紙については連中の弁護はできません。実は郵便を開くのは、中国の慣習的技で、早くから私も気付いていました。但し、この種技量は苦心しても徒労に終わります。明の方孝孺は永楽帝に十族を滅ぼされたが、(九族の次)の一つは「師」だった由。とはいっても余りあてにはなりません。この件の真偽のほどは調べていません。しかし西瀅の文からすると、こういう輩は一度志を得たら、滅族だけでなく「系(学部)も滅し」「籍も滅す」だろう。
 明明白白に学生を除籍しておきながら、布告には「出校」と書くとは、私はその時、中国文字の巧妙さをとても嘆かわしいと思った。今上海で学生を逮捕し、殺し始めたが、ロイター電では「華人は人事不省」となったとあるのを見て、異曲同工というべく、ただしこれは中国紙の訳文で、原文はどうなっているか知らない。
 実は私は余り酒を飲まぬし、飲酒の害もよく知っています。今は飲まない時の方が多い。人が勧めぬ限り。しばらく待ってみるのも悪くは無いし、短刀も持ってはいるが、夜間の賊を防ぐためで、偶に目にした人は、ちょっと見ただけで怪しむので、「流言」は皆信ずるに足りません。
 汪懋祖氏の宣言が発表され、「某女士」の言を引いて重要だとしたのはおかしい。連中はよく「某」の字を愛用するが、何のためか分からない。その意をみると、どうやら「某籍某系」は学校を解体しようとのことで、一種の奇談である。黒幕の男がようやく出てきたのは見ものだが、残念ながら彼自身また「南に帰る」と言っている。隠れたり現れたり、隠れたり現れたり、というもの黒幕なる故か。ははは!
   迅    6月2日

訳者雑感:九族に累が及ぶ、というのは中国の古くからの「厳罰」で、21世紀の今日もこの数年、腐敗幹部が逮捕されると、その罪九族に及び、膨大な数の親族が牢に送られている。
 明の方氏の場合は永楽帝にその「師」まで殺され、罪は十族に及んだという説もある。親族でもない師(ここでは許の罪が魯迅に及ぶという意)
 開封は常にあるということで、今回から魯迅とは署名せず、迅の1字としている。北京駐在時、どうも開封された形跡があり、これは、国外郵便はすべてスパイの恐れありとして、開封されているということを先輩たちから聞いたことを思い出した。先輩たちは文革中に、本社への報告に、「連中は至る所で壁新聞を張り始めた、云々」と記述し、新僑飯店に長いこと軟禁された。明らかに開封されていたからとしか考えられない。80年代に入って、公安当局から「お詫びしたい」と北京に招かれたが、一部の人は当時のことを思い出したくないから、と断った由。当時から飯店で働いていた服務員は、「おおー、驚き、あの人はよく知っている」と感激しながら私に告げた。
   2016/09/15記

拍手[0回]

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

06 2024/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

フリーエリア

最新CM

[09/21 佐々木淳]
[09/21 サンディ]
[09/20 佐々木淳]
[08/05 サンディ]
[07/21 岩田 茂雄]

最新TB

プロフィール

HN:
山善
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R