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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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2.文字はどんな人が造ったか?

門外文談2
2.文字はどんな人が造ったか?
 よく聞かされてきたのは、如何なるものも、古代の一聖賢が造ったという故事で、文字についても、当然ながらこんな質問がでる。だが、直ぐ出て来るのは、来源を忘れた答えで:文字は倉頡が造った。
 これは一般的学者の主張で、当然彼の出典はある。私はこの倉頡の画像を見たことがあるが、4つの目を持った老行脚僧だ。このことから、字を造るには先ず容貌も奇でなければならぬことが分かるし、我々のようなただ2つの目しか持たない人間は、才能不足のみならず、容貌的にも失格である。
 だが「易経」を作った人(誰かは知らぬが)は少し賢くて、彼は言った:上古は縄を結んで治め、後世の聖人は之を書契に易えた」と。彼は倉頡とは言わず「後世の聖人」と言い。創造とは言わず、ただとり替えたと言い、真に大変慎重で;多分彼は無意識のうちに、古代の人が独りで多くの字を造ったことはありえたと信じていないから、このような模糊とした言葉を使ったのだ。
 では結縄を書契に代えたのはどんな人だったのか?文学家?確かに。今の所謂文学家の文字を弄することにかけては最もうまい人は、ペン一本でなんでもできる事実からすると、確かにまず彼を思い浮かべる:彼も確かに自分が食わせねばならぬ家族の為に、力を尽くしただろう。しかしそうではない。有史前の人々は、働いている時も歌を歌い、求愛のときも歌を歌ったが、それを起草したり、原稿を残したりしなかった。彼は詩稿を売るとか、全集を編むなど夢にも思わなかったし、当時の社会には、新聞社も書店も無く、文字の用途が無かった。学者の言う話しでは、文字にある工夫をこらしたのは、史官だったろうと思われる。
 原始社会ではきっとその頃は巫(みこ)がいただけで、徐々に進化して、事情が複雑になってきて、幾つかの事、例えば祭祀、狩猟、戦争…などは、徐々に記録の必要が出てきて、巫は彼の本職である「降神」以外に、別に何らかの方法を講じて、事を記すしかなく、これが「史」の始まりとなった。まして彼は「天に昇って、諸侯に成功」を告げる、となると、彼は本職上、酋長と彼の治下の大事を記載した冊子を焼いて、上帝に見て貰わなければならず、その為に、同じように文章を作る必要あり――これは多分後に起こった事だが。また後には職掌がより明確に分かれ、それで事を記す專門の史官が現れた。文字は史官にとって必需の工具で、古人は「倉頡は黄帝の史官」という。第一句はまだ信じることはできないが、史と文学の関係の指摘はとても面白い。後の「文学家」がそれを使って、「ああ、わが愛よ。吾死なんとす!」などという佳句に至っては、すでに出来上がったものを享受したにすぎず、「何をかいわんや」である。

訳者雑感:中国古代の象形文字もエジプトのヒエログリフもともに神への祈りとか呪術などを「職掌」とする「巫」の中から、それを記録して天上の神に献上して願を叶えて貰えるように造りだされたものだろう。「史官」という「書記」が複雑な象形文字を如何にして正確にかつ短時間で記録せねばならぬかに心血を注いだ。それが「民衆語」となり「篆書」「隷書」となって、教育を受けた人々が代代その任に当たった。
 その後、宋代などになって禅宗の僧侶たちがおびただしい量の経典を書写するにあたり、どんどん簡略文字で代替する様になってゆき、より簡単な文字になった。
新中国になってから大量に採用された「簡略文字」のルーツはやはり宗教にあるようだ。
それを採用しない日本や台湾(日本より更に難しい字画の漢字を使っているが)はいつ頃更に簡略文字を採用するのだろう。いずれにせよ、この地域で、統一した漢字を共通させることが求められていると思うのだが。
      2013/09/24記

 

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