忍者ブログ

日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

宇治川へ

 

宇治川大改修

 彼岸の墓参の後、京の友人から宇治川の洪水防止工事の話しを聞いたので、どんな状況か見に出かけた。昨年の嵐山の渡月橋が大洪水で橋桁に迫る濁流を眺めて、3.11の津波程ではないが、その暴れぶりに圧倒された。1か月ほど後に現地に出かけ両岸の樹木の2メートル程の高さにまでゴミや草が引っ掛かっているのを見、この洪水が天龍寺の方まで押し寄せたら大変だったろうなと思ったことであった。

 
 2013年秋の台風で上流から桂川右岸の樹木に付着したゴミ、前方は渡月橋(10月撮影)

 JR宇治駅から大通り沿いに宇治橋に向った。駅から数百メートルずっと下り坂の道で、橋の少し手前でやっと少し上りになってきたが、他の川に架かった橋脚はかなり手前から上りになるのに、宇治川はそれだけ急流が川の周辺の土を削り取って来たことが分かる。
 橋脚の端に立って、上流をみてびっくりした。中の島から宇治上神社に向う赤い朝霧橋から少し下流で川幅の半分くらいがシートパイルで堰き止められ、大型重機が土を掘ってはダンプに積み込む。半分に堰き止められた急流は普段以上に激しくぐんぐんと流れ来る。


写真は右岸からと朝霧橋からの工事の状況 
朝霧橋から工事車両が川を半分堰き止めて底を深く掘削中、前方は宇治橋(3月20日)
 京阪宇治駅の方に向い、右折して右岸を上流に向った。暫くすると橘寺放生院という寺があり、その説明によると、宇治橋は日本でも最も古い橋の一つだが、しばしば洪水で流れたので、亡くなった人間と生き物を供養する為に沢山の生き物を放生した由。さらに進むと、まさしく大型重機とダンプが掘削工事をしている光景が目の前に入った。中州を大きくして、流れを更に急にして川底の土を削り、下流に推し流す事によって、平等院への大水害を防止しているのだろうか。平等院側の堤防はすでに自然に溶け込んでおり、これを淀川のような百メートル幅のスーパー堤防や、津波防波堤のようなものを作る訳にはゆかない。以前別の本で読んだことだが、水の流れによって川底を削ることで洪水を自然に防ぎ、水運の便にも利する。これが、ダムができるまでの日本の自然の川の力であった。
 しかしすぐ上流に天ケ瀬ダムができ、ダムが水を放流する時以外は、自力で川底を削る力が減り、底が浅くなって、洪水時には大災害をもたらすのだ。

 
説明では川を半分ずつ堰き止めては河底を0.4Mほど掘削して切り下げ、
水の流れる量を増やし、「洪水を安全に流せるように計画しました」(カッコは筆者)
最初の説明は「洪水による被害を軽減するため」とあり、軽減するためで防止することはできないというスタンスである。
 
橘橋から下流を堰き止め、緑のシートの間をダンプが土砂搬出する
 
中州を復元し、川の流れを以前のように勢いを取り戻させ土砂を押し流す。

 
朝霧橋から天ケ瀬ダムのある上流の眺め。雨後の山霧が立ち上る。説明ではこの橋から下流のみを0.4Mくらい深くするというが、今後こうした工事をするのだろう。土は上流から運ばれてきて、一度流れが緩やかになるとそこに堆積してしまうのだ…。
以前、伏見の港は宇治川と同水準であって、大阪から上って来た舟はそのまま京都に入れたが、宇治川が川底を侵食したためか、或いは水量が減ってしまったため高瀬川との段差ができてしまい、閘門を敷設して舟運を維持しなければならなかった。
 宮本常一の「川の道」141頁を引用すると、
「瀬田川が宇治川と名を変えるところが天が瀬(海人が瀬か)で…(中略)この先史の人々は琵琶湖ばかりか、絶えず淀川水系を上下して遥かなる瀬戸内にさえ交流したことがしのばれる」と記している。海人がこの辺りまで交易に上がって来たのか。
 琵琶湖の水面と淀川の河口の水面は、古代人の小舟が竿で河底をかき、岸から綱で曳いたりして上下できた高低差だったのだろう。
 1919年に京都の春を惜しんだ周恩来は、50年後のピンポン外交で、愛工大の後藤鉀二さんに「私が日本を離れる時、丁度桜の季節でした。船で琵琶湖へ下りましたが、実に美しかった」と語っている」林芳著「寥天(ひろき天)」
疎水から琵琶湖へ下り、琵琶湖から舟で瀬田川宇治川淀川経由大阪に着いたかもしれないと思うと興味が尽きない。(多分、汽車だったろうが、神戸から天津に帰る荷物と一緒なら舟が便利だし安かっただろうと思う)     2014/03/22記

拍手[0回]

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

06 2024/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

フリーエリア

最新CM

[09/21 佐々木淳]
[09/21 サンディ]
[09/20 佐々木淳]
[08/05 サンディ]
[07/21 岩田 茂雄]

最新TB

プロフィール

HN:
山善
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R