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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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長城


偉大な長城よ!
 この工程は地図にもその小さな像が描かれ、世界中で少し知識のある人は大概しっているだろう。
 その実、従来からただ徒に多くの労働者を狩りだして、辛い賦役に死なせて来ただけで、侵入する胡人(外敵)を防ぎきれなかった。現在は古跡に過ぎないが、すぐには壊滅しないし、或いは保存しようとしている。
 私はいつも思うのだが、私のまわりは、長城に囲まれているような気がする。この長城を構成しているのは、昔からある古レンガと補填された新しいレンガで、二種類が一体となって城壁を築き、人々を包囲している。
 いつになったら長城に新しいレンガを補給しなくなるのか?
 この偉大かつ呪詛すべき長城!
 五月十一日         2010/08/14 訳
 
       訳者あとがき
       長城は、外敵の侵入を防ぐために築かれたものだが、魯迅はこの城壁が、旧時のレンガ(旧教即ち儒教を統治治の手段として利用してきた制度)が壊れずに、辛亥革命の後でもなお、儒教の経典を大切にしようなどの逆流が、新しいレンガとして補給され続けた結果、欧米日露などの侵略に対して独立国家として立ち向かえるような改革を阻んでいるのは、とりもなおさず、人々の考えの発展を妨害する、新旧レンガの旧教である。それゆえ、この旧教の体制を長城に譬えたものだと思う。
 改革開放の30年、今はコミュニズムという背骨を喪失して、科挙の試験顔負けの大学入試の煉獄に、かつての科挙受験生のおかれた状況と似たようなことが起こっている。この受験に合格して、
党員になることが、地方政権の役職に就く「入場券」であって、その入場券を手に入れる発想は、
旧体制のころ先祖がやっていた方法と同じやりかたを踏襲するのが、大方の中国人に一番受け入れられやすい、安心感をもたらすようだ。
        隋唐の時代から実証されてきた、貴族制打倒、皇帝独裁の官僚育成制度というのは、政権争いばかりして、内部闘争にあけくれて、毎年政権が代わるよりも庶民は安心して暮らせるから。
 

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