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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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張資平氏の「小説学」

張資平氏は「最も進歩的」な「無産階級作家」であって、諸兄がまだ「萌芽」や「拓荒」の状態にある時、既に収穫に入っていた由。これ即ち進歩で、長足で飛翔するが如くに疾走し、後塵すら拝めぬ程だった。しかしその後を追跡してみると、彼が(彼の経営する)「楽群書店」に走りこむのが見えた。
 彼はかつて三角関係が売りの小説家で、女の性欲は男より我慢できぬほどで、男を求めるとき、女はとても悩む。これは勿論無産階級の小説ではない。だが、作家は方向転換したら、道を見つけて、鶏犬も飛昇する如くで、況や神仙のぬけがらをや。「張資平全集」を読むべし、と。これが収穫だ、と。おわかり?
 まだある。「申報」の報告に今年の大夏の学生は「青年の崇拝する張資平先生」に「小説学」を学んだ。中国の旧例では英語の教師は、外国の歴史も教えられる。況や小説の教師は勿論腹の中は小説で一杯である。さもなければ、書けるわけがない。ホーマーには「史詩作法」が無いとか、シェークスピアに「戯劇学概論」が無いといえないだろう?
 嗚呼、講演を聞く門徒には福があろう。これから三角関係とは、恋愛とは何かを知ることができる。
女が欲しいなら、思いもよらなかっただろうが、女の性欲の衝動は君よりずっと強く、向こうから走りよってくるのだ。友よ!待っていなさい。だが可哀そうなは、上海に住んでいなくて遠くから「崇拝」するほか無く、その門に入ることのできない青年だ。彼らはこの偉大な「小説学」を恭しく拝聴することができない。今私は「張資平全集」と「小説学」の精華を下記のようにまとめ、遥か遠くにいるこれらの崇拝者に献じ「梅を望んで渇を止める」こととしよう。
  それは即ち―― △ 。    
                    2月22日
訳者雑感:張氏は出版社注には、日本政府の「興亜建国運動」の「文化委員会」
主席を務め、大量の三角恋愛小説を書いた由。最も進歩的な無産階級作家から
方向転換して、三角関係の小説を書きまくって、自分で書店も開いたという
発展家。中国の作家とか芸術家、演劇、美術などに携わる人たちは、政治家と
手を結ぶというか、自らも政治の世界に入り込んで、政治を動かしながら、文化活動をするという伝統があるようだ。
 唐の時代の詩人は、ほとんどが役人であり、政治の中枢にいたいと願い、中枢から追い出されたときも、早く中枢に戻りたいという念を棄てきれずに、その中からたくさんの名詩を残した。
 宋の時代も、明や清でも今日に伝わる詩詞のほとんどがその系譜に繋がる。
辛亥革命後も、魯迅が論戦をいどんだ相手の半分ほどは、政治に身を置きながら文芸活動をしている。というか文芸よりも政治が主であるようだ。
 爾来、名詩詞の多くは、中枢から追い出された政治家たちの筆になるものが
多いが、毛沢東にも多くの詞が残っていて、30年前までは、中国の公共の場所や、ホテルのロビーなどの壁に、彼の詞がたくさんあった。今はどうなっているのだろうか。大半は彼の像と共に撤去されたりしたが、農村の家などには、
彼の写真とともに彼の詞がまだ残っていることだろう。
 乾隆帝は各地に出かけて、たくさんの石碑を残している。毛沢東も岳陽楼とか、南方各地に彼の字を残しているが、どうなるだろう。
  2011/08/12訳

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