忍者ブログ

日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

魯迅の手紙1億円で落札

22日の日経夕刊が、魯迅の短い手紙が1億円で北京のオークションで落札されたと報じている。
陶亢徳という当時の著名な編集者宛ての220字の手紙で、香港のテレビの映像では1枚の用紙に
縦書きで10行前後の短いもので、コメンテイターは1字50万円(香港ドルで)相当だと言い、
最近陳独秀などの手紙もオークションにかけられて、手紙のオークションが熱門(ほっと)になってきていると伝えている。北京上海などに彼の博物館があり、彼の手稿の毛筆の手紙などが展示されていたり、その写真を本にして出版されているが、どうして220字の手紙にこんな値がついたのだろうか?教科書から魯迅の作品が消えてしまうという流れの中でどういうことだろうか?
漱石や鴎外の手紙がオークションにだされてことがあったのだろうか?
ただこの手紙の内容がとても興味深い。
「日本に留学経験のある魯迅が日本語学習について記した内容」で
「日本語を学び、小説を読めるようになるまでに必要な時間と労力は、決して欧州の文字を学ぶのに劣らない」などと書かれているそうだ。
 1902年4月から1909年9月まで7年半、東京ー仙台ー東京で住み、日本語を習得する傍ら、東京でもドイツ語を熱心に学び、ドイツへの留学も計画していた彼が、「日本語学習」について編集者へあてた手紙で、欧州の文字を学ぶのと同じくらいの時間と労力が必要だ、ということは何を意味するものだろう。漢字が同じで日本語経由で大量の欧州文化を取り入れた中国だが、その魯迅にしても、日本語の小説を読めるようになるまで(彼は大量の作品を翻訳しているが)には、ドイツ語の小説を読めるようになるのと同じくらい時間と労力をかけた、というのか。
彼は一方で大量の欧州(おもに被抑圧国だった東欧など)の作品をドイツ語から重訳している。
彼にとっては、ドイツ語のしっかりした文法・概念の方が、あいまいな日本語からよりも翻訳する際は、よく理解でき、早く理解できたのかもしれない。ドイツはおろか、欧州には一度も足を踏み入れていないのにである。
 彼は晩年内山書店の主人に「西郷」の本と、「川柳」の本を頼んでいる。川柳を作ってみようとの考えですか?との問いに、「いやあ川柳が分かるようになるのも大変で、作るなんてとても」
という意味の答えの後、「日本人が私に漢詩を作ったから見てほしい、と言ってくるが…、
正直言って、漢詩を作るのは難しいからおよしなさい、と言ってるのです」という意味のことを
内山さんの本で読んだ記憶がある。(書名失念)
2013.11.23記

拍手[2回]

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー

06 2024/07 08
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

フリーエリア

最新CM

[09/21 佐々木淳]
[09/21 サンディ]
[09/20 佐々木淳]
[08/05 サンディ]
[07/21 岩田 茂雄]

最新TB

プロフィール

HN:
山善
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R