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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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ナポレオンとジェンナー

ナポレオンとジェンナー
 私の知人の医者は、よく流行っているが、いつも患者の家族から責められるので、ある時、自嘲気味に:人から称賛を得たいなら、人を殺すのが一番だよ。ナポレオンとジェンナーを比べてみればよくわかる、と言った。
 確かにその通りだと思う。ナポレオンの戦績は我々とは何の関係も無いが、やはり彼を英雄だと敬服する。甚だしきは、自分の祖宗が蒙古人の奴隷になったのに、それでもなおジンギスカンを称賛する:現在の逆卍(ハーケンクロイツ)の眼からすると、黄色人種はすでに劣等種だとされているのに、我々はそれでもヒットラーを讃えたりする。
 彼ら三人は人を殺しても屁とも思わぬとんでもない厄病神だ。
 しかし、我々は自分の上腕に瘡があるのを知っているが、これが種痘の跡で、天然痘から命を救ってくれたものだ。このお陰で、世界でどれほどの子供が救われたか知らぬ――
ある人は成長して後、やはり英雄たちの銃砲で灰になったとはいえ、我々の内でこれが、発明者の名から付けられたことをどれほど知っているだろうか?
 殺人者は世界を破壊し、救人者はそれを補い、修復している。銃砲で灰にされる有資格者たる諸公は、それでも殺人者に恭順する。
 この考え方を変えない限り、世界はさらに破壊されつづけ、人は更に苦しむことになる。
                              (1934年)11月6日
訳者雑感:ドイツ語の新聞や雑誌などでヒットラーが政治に登場してきたころの状態を見て来たのだろう。1934年当時、ナチスドイツから黄色人種は劣等種だといわれて見下されていたのを、承知していながら、ヒットラーを讃えたりした。第一次大戦の結果、青島などの植民地から追い出されたドイツは、英米仏日など帝国主義植民地支配者とは違った目で、ドイツを見て来たためだろうか。当時の国民党の軍備は、クルップなどドイツ製が殆どであった。それは英米仏日など植民地支配者が売ってくれないということもあったろうが、中国とドイツの協力協定の結果であった。
 それにしても、米英から追いつめられたとはいえ、黄色人種は劣等種と公言しているナチスドイツと防共協定から三国同盟を締結するに至るとは、いかなる風の吹いたものか?敵の敵は味方という論理からか。そのドイツは中国大陸で日本軍と戦闘する国民党軍に新鋭の武器弾薬を供給し、日本軍はそのドイツ兵器で大きな痛手を受けたという。また、南京の所謂虐殺を世界に向かって最初に報じたのは在南京のドイツ人ジャーナリストであった。これが世界に日本軍の残虐性を宣伝し、反日活動を高揚させたと言われている。ナチスドイツは一方で中国と協力し、それと戦っている日本と同盟を結んだ。これは独ソもしかり日ソもしかり、中立条約を結びながら、「すきあらば」いつかは攻め込もうと虎視眈々であった。それが30年代後半から40年代への世界情勢だと言えばそれまでだが。智恵が足りなかった。
無人島を巡る制空権という問題が発端となって戦端が開かれぬ事を切に祈る。       2013/11/25記

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