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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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賃上げと設備投資要請

賃上げと設備投資要請
 最近政府は経済界に対し、賃上げと設備投資を要請している。経団連も各産業界に賃上げに協力を呼び掛けている。何か順序が逆の感じがする。
 1970年代までは、労働組合が毎年春闘で賃上げを要請しストを打った。国鉄がスト予告すると一部の職員は会社に貸蒲団を持ち込んで泊った。独身寮生は貸し切りバスで出勤した。
 バブルがはじけて以来、労働組合が賃上げを要求しても、無い袖は振れぬという状態が何年も続き、賃上げ要求のストもなくなった。正規社員が減り、派遣社員とか非正規社員が増え、ストを打つ組合員が減少したことも背景にある。正社員は賃上げ要求できるような状況にない、もし正社員の賃上げを強硬に要求すると、正社員はどんどん減らされ、非正規社員に代替されるという心配がそうさせているのだろう。私鉄・JRでもかつては正社員が改札ホームの警備、清掃までやってきたが、改札は無人化され、ホームの警備は警備専門の子会社の社員となり、保線関係とか一部の業務を除き、ほとんどが別の下請け業務的な形態となった。
 こういう状態では、賃上げを要求する社員が減ってしまい、経営者は賃上げの要求・ストというかつての労使交渉という「場」から解放された。それで何とか2%の経済成長を掲げる政府が経済界に賃上げを要請するという不思議な状況が生まれた。と同時に、本来は企業が将来の競争力強化のために、自身で緻密なF/Sを行って、設備投資をするか否かを決断してきたのを、政府が「余剰利益」を内部留保せずに投資にまわせと、これまたへんてこな状況になってきた。何かおかしい。順序が逆だ。
 リチャード・ベッセル著「ナチスの戦争」(中公新書)の72頁に下記の文言がある。
 「ナチス時代の経済は、資本家が制御していない資本主義経済で(中略)
ナチ経済の目的は金を儲けることではなく、戦争をすることにあった」
 「資本家が制御していない」ということは恐ろしいことである。
 最近の中国の経済も30数年前の鄧小平が言った「黒猫も白猫もネズミを捕るのは良い猫」「国民の生活向上のための経済発展」を目指した社会主義市場経済から、最近は共産党の政権基盤強化のために「国・地方政府の経営する企業」が民間資本家の経営する企業を圧倒的に抑え込んで、「国家資本主義」の状況にある。
最近の日本は国が旗を振って、賃上げ設備投資を要請し、資本家が制御するのではなく、政府が制御する資本主義にしようとしているようだ。
                       2015/11/27記

 

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