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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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文芸新聞社の問いに答えて

文芸新聞社の問いに答えて
 ――日本が東三省を占領した意義は
 これは一面では日本帝国主義が彼の手下――中国の軍閥を鷹懲しているということ、即ち中国の民衆を「鷹懲」しているのである。なぜならば、中国の民衆は軍閥の奴隷でもあるのだから:
 もう一つの面でいえば、これはソ連への侵攻のはじまりであり、世界の労働大衆に今後も長く奴隷の苦境を受け入れさせようという方針の第一歩である。
    九月二十一日

訳者雑感;これは9月18日の満州事変勃発についての新聞社への答えである。
 日露戦争を日本の仙台から見ていた魯迅が、この満州事変を日本帝国主義が
中国の軍閥を鷹懲している、という表現は、日本語の新聞を欠かさず見ていたから出てきた言葉だろう。言うことを聞かないから懲らしめるというのだ。
この言葉はベトナムが言うことを聞かないからという理由で、中越戦争が起こった時にも中国側が発している。中国は大国でありその庇護の下にあると思ってきたベトナムが中国に反旗を翻したのだから懲らしめねばならぬ論理だ。
 今香港の報道ではベトナムやフィリピンなどの「小国」が南海問題をめぐって中国に歯向かってきているのは怪しからん、という論調である。
 一方、これは日本がソ連に侵攻するための第一歩だと認識している。日本は結局ソ連と戦って大敗し、四万人の戦死者と将官の切腹で北進を諦め、南進政策に転じることになったわけだ。もしもソ連との戦いに勝って、石油資源などを確保できていれば、南進や真珠湾攻撃は更に先送りになっていたやも知れぬ。
 魯迅の答えは、日本の新聞の論調をよく分析した上でのものだったろうから、
日本が満州事変で満州を占領しないと、ソ連が南下してきて鞍山大連旅順などの権益が脅かされると(本当に)心配していたに違いない。世論をそちらの方に向けることで、関東軍の増強を図り、5万から20万人に拡大したのだ。
 しかし司馬遼太郎が指摘するように、大平原を大量の戦車で攻めてくるソ連軍に対抗するような最新鋭の戦車の無い日本は、ソ連に大敗した結果、自分より弱い南方へ転進する。それが戦線の無制限の拡大となりオーストラリアからビルマ(ミャンマー)まで伸びた風船は、一気に破裂してしまった。
   2011/09/21訳

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