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日夜浮かぶの翻訳雑感

魯迅の翻訳と訳者の雑感 大連、京都の随想など

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両地書六

両地書六
 広平兄
貴信拝受後、数日経たようですが、偶々時間がとれず、今日やっと返信します。
「一歩一歩現在が過ぎ去る」のは無論比較的環境に苦しめられていないからですが「現在の私」は「以前の私を含んでおり」この「私」は時代環境に不満を持ち、苦痛もなお続いています。しかしこの境遇に安んずることができ――即ち、船あれば船に乗る云々――で、幻想のとても多い人たちより聊か安穏でいられ、敷衍できるでしょう。要するに、人は麻痺の境界から出たら、苦痛が増え、何も考えられず、所謂「将来に希望を」とは自慰に過ぎず――実際は自ら欺く――の法で、「現状に順応する」と同じです。きっと「将来」も考えず、「現在」も知らぬようになって、初めて中国の時代環境に合致するのですが、一旦知識を持ち始めると、再びそんな状態には戻れません。私が前信で書いたように、「不満があっても悲観せず」で、貴信の所謂「英気を蓄えておいて、いざという時に試す」しかありません。
 貴信の言う「時代の落後者」の定義は違っています。時代環境はすべて変化し進歩しますから、個人が昔のままで何の進歩も無い、それが「落後者」です。時代環境に不満で、それを改良しようとするなら「落後者」ではない。世界の改革者の動機は大抵、その時代環境に対する不満からです。
 今回の教育次官の更迭は、彼の失策の為のようで、でなければ、こうはならなかったと思います。「民国日報」への妨害については北京の官界の例の手口で、実に笑止千万です。一部の新聞を停刊させたら、彼等は天下太平ですか?このような漆黒の染料がめを壊さねば、中国に希望はありません。だが今まさに壊そうとしている人もいるようですが、人数がとても少ない。しかし既にいるわけですから、これから増えるのを期待し、増えれば良くなり――無論これは将来のことで、今は準備のみです。
 知っていたら無論何も言わない訳ではありませんが、この通り、紙面いっぱいの「将来」と「準備」ばかりの指導教示では空言にすぎません。「子鬼」にとっても何ら有益な処はないと思います。時間については問題ありません。というのも、たとえ手紙を書かなくても、他に何もたいしたことはしておりませんから。     
 魯迅  3月23日

訳者雑感;文中の:「将来」も考えず、「現在」も知らぬようになって、初めて中国の時代環境に合致するのですが、…。という表現は「吶喊」の前書きにある、「鉄の部屋の中」の人たちで、そこから目覚めたら、何とかしてこの鉄の部屋から脱出すべく、あらがうことになるのだ。それが「将来」への「準備」だろう。
 今回、自衛隊の廠舎とよばれる風雨をしのげるかまぼこ宿舎で体力温存し、
それこそ「塹壕戦」で7日間堪えた大和君のとった対応はおどろかされた。
日中に鉄道の方向に向かって歩いてゆけば、もっと早く助かっただろうが、その途中でクマに襲われ、事故にあったかもしれぬ。水さえあれば人間は塹壕戦で堪えてゆけるのだ。何はともあれ生きて発見され本当に良かった、良かった。
    2016/06/04記
 

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